pHの測定

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pHの測定方法

pH測定の方法のうち、主なものは下記のとおりです。

 1. 指示薬を用いるもの

2. 水素電極を用いるもの

3. キンヒドロンを用いるもの

4. アンチモンを用いるもの

5. ガラス電極を用いるもの

これらのうち工業的に主流な物は、指示薬とガラス電極です。2~4の各方法は実験室などの限定された一部において使用されています。

 

各測定方法について

指示薬:

地中海沿岸から南半球に分布するリトマスゴケ科のコケ類を消石灰で煮出して、アンモニアを加えて発酵させると粉末になります。これがリトマスという色素です。

リトマスに酸を加えてpH4.5以下にするとリトマスは赤色になります。

この赤色になったリトマスをpH8.3以上のアルカリ性にすると青色に変色します。

このリトマスを紙にしみこませて乾かした物がリトマス試験紙です。

リトマスはあまり敏感ではないので、その代わりにpHのわずかな変化によっても敏感に変色をする合成色素が使われています。このようにpHの変化によって変色する色素をpH指示薬といいます。

 pH指示薬を紙にしみこませた試験紙をpH試験紙といい、現在では、各種のpH指示薬の試験紙がつくられており、それらを組み合わせてpH0~14の範囲を0.2pH単位の精度で測定できるような試験紙のセットが販売されています。

 

水素電極:

水素ガスを十分に吸着させた白金電極は水素電極と呼ばれます。

これを液に浸すと、液の水素イオン濃度(正確にいうと水素イオン活量)に対応した電位を発生するので、被検液のpH値がわかります。

爆発の危険のある水素ガスを常時必要とするため、管理が面倒であり、現在はあまり使われていません。

 

キンヒドロン電極:

キンヒドロン電極とは被検液にキンヒドロンを少量加え、よくかきまぜ飽和させた中に白金電極を浸したもの。このキンヒドロン電極と比較電極を浸して両電極間の電位差からpHを求めます。

この方法は簡単ですがpHが8以下の対象にしか用いることはできず、適用範囲が極めて制限され、現在ではほとんど使用されていません。

 

アンチモン電極:

みがかれたアンチモンの表面には酸化物を利用します。溶液の中に浸すと、その酸化物は溶解し水酸化物になりますが、液のpHによってアンチモン水酸化物の電離平衡が異なることに着目したのが、このpH測定方法です。

その方法は、サンドペーパーや布きれなどでみがいたアンチモン棒を比較電極と共に被検液の中に浸し、アンチモン棒と比較電極の間の電位からpHを求めます。この方法は再現性が悪いなどの欠点をもっています。またアンチモンより電化系列の低い金属イオン(イオン化傾向がアンチモンより大きな金属、例銅、ニッケルなど)が微量でも被検液の中に含まれていると大きな誤差を生じます。

主たる用途は、ガラス電極が使用できない含フッ素溶液の測定に用いられています。