pH調整の方法

 

たくさんある調整剤

製品の品質を安定させるpH調整や、排水基準を満たすためのpH調整など、いろいろな場所で必要とされるpHの調整ですが、調整の方法はシンプルです。

pHを下げたい場合はpHの低い薬品を投入・注入しpHを上げたい場合はpHの高い薬品を投入・注入します。

下げたい場合は炭酸ガスの注入という方法もありますが、この項ではpHをコントロールする方法のひとつである、pH調整剤の注入について詳しく述べていきたいと思います。

まずはpHの調整剤の種類や選択の仕方についてです。pHを下げたいとき、硫酸と塩酸の使い分け、あなたはわかりますか?

 

pHを下げたい時(酸性化)

pHを下げたい時に使用される物質として硫酸や塩酸などがありますが、毒劇物を避けたい時やコスト的な問題、また対象液と混合した際の生成物の懸念、反応速度などから選択します。

代表的な調整剤は下記になります。

①硫酸

硫酸はもっともよく使用されている中和剤のひとつですです。特徴は・・・・

・価格が安い

・反応速度が速い

・揮発性が小さい

などがあります。但し、硫酸を中和剤として使用するには留意する点があります。

中和対象の液(原水)にカルシウムが620mg/L以上含まれている水に投与すると

石こう(CaSO4)が生成され、スラリーとなり、また固着する可能性があり、装置等の不具合を引き起こす可能性があります。

②塩酸

塩酸は中和剤としてはあまり使用されない中和剤ですが、特徴は・・・・

・価格が高い

・揮発性が大きい

しかし、硫酸と違い塩酸は原水にカルシウムが多量に含まれていても硫酸の時のように石こうが沈殿するといった現象を起こさないという利点があります。

原水中にカルシウム分が多い場合は、塩酸を選択肢に入れることが多いです。

③硝酸・リン酸

この二つは窒素やリンが含まれており、特定の用途(リン酸は水槽や食品など)で使用されることがあります。

 

pHを上げたい時(アルカリ化)

pHを上げたい時は苛性ソーダが主流ですが、消石灰など、ハンドリングに注意が必要な物も多く存在します。

①苛性ソーダ

最もオーソドックスなアルカリ性の中和剤が苛性ソーダです。特徴は・・・・

・反応が早い

しかし、高価であることと固体状で購入した場合は水に溶解しなくてはいけないという欠点があります。

 

②消石灰(水酸化カルシウム)特徴は・・・・

・価格が安い

・反応が遅い

・硫酸成分が原水中にあると難溶性の石こうが生成される。

また、溶解度が低いので通常はスラリー状にして使用する為、ポンプでの移送に注意が必要。

③水酸化マグネシウム

排ガスの脱硫によく使用されます・特徴は・・・・

・苛性ソーダより安い

・反応が極めて遅い

溶解度が低いためスラリー状で硫酸の中和に使用されます。

また、硫酸との中和反応で発生した硫酸マグネシウムは、溶解度が高いので沈殿するといった弊害を起こしにくいのが特徴です。

このように、pH調整に関しては反応速度やコストの問題、生成物に関する懸念をクリアし選定をすることが重要になります。

事項では、法律で規定のあるpH値について解説します。

 

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