【初心者にもわかる】CIP洗浄ってなに?

CIP洗浄とは?分解不要の「その場で洗浄」システム
工場や医療の現場でよく耳にする「CIP洗浄」という言葉。
CIPとは 「Cleaning In Place」 の略で、直訳すると「その場で洗浄」という意味です。
名前のとおり、装置や配管を分解することなく、薬品や水を配管内に循環させて内部を効率的に洗浄できるのが特徴です。
専門的に聞こえますが、実はとてもシンプルな仕組みなんです。
身近な例にたとえると、ご家庭の食洗機に近いイメージです。
食器を1つずつ洗わなくても機械が自動的に洗浄してくれるのと同じ原理です。
産業用の排水処理施設では、この方法によって複雑な配管システム全体を効率的に清掃できます。
なぜCIP洗浄が必要なのか?

例えば食品工場では牛乳や飲料、医薬品工場では点滴液など、衛生的にとてもデリケートな製品が扱われています。
配管やタンクの中に、目に見えない汚れや菌が残ってしまうと、製品の品質に直接影響を及ぼしますよね。
そこで活躍するのがCIP洗浄です。
薬品や温水を循環させることで、残留物や微生物を除去し、清浄な状態を保ちます。
CIP洗浄のメリット
分解が不要
機械を取り外さずに洗えるから作業効率が高い。
品質の安定
温度・薬品濃度・時間を管理できるから、常に同じ水準の清浄度を確保できる。
安全性の向上
スケール詰まりや薬品の偏りによるトラブルを防ぐ。
CIP洗浄の基本的な流れ
基本的なCIP洗浄のプロセスは以下の4ステップで構成されています。
プレ洗浄
水による予洗い
目的:残留物や大きな汚れを取り除く
内容:温水または常温水を使用して配管内の大きな汚れや付着した汚れを洗い流す
この工程で汚れの60~70%が除去される
アルカリ洗浄
油や有機物を分解する
目的:油脂やたんぱく質などの汚れを化学的に分解
内容:アルカリ性洗浄液(水酸化ナトリウムなど)を使用し、汚れを融解・浮遊させる(バイオフィルムの除去にも効果的)
酸洗浄
スケールや金属酸化物を溶かす
目的:スケール(金属塩や無機沈殿物)を融解
内容:希釈した酸性洗浄液(通常はクエン酸や塩酸など)を循環させ、汚れを融解・浮遊させる
すすぎ
薬品を残さないようにきれいに流す
目的:消毒液や残留物を完全に洗い流す
内容:純水または飲料水レベルの水で配管を循環させる


中和処理との関係
CIP洗浄では、酸(リン酸・硝酸など)やアルカリ(苛性ソーダなど)を使って設備内部を洗浄します。
その結果、pHが極端に低い(酸性)または高い(アルカリ性)の洗浄排水が発生します。
これをそのまま排水すると水質汚濁防止法などのほう規則違反や環境汚染の原因となるため、中和装置で法規制値のpH 5.8~8.6程度に調整したうえで排水する必要があります。
法令順守
排水基準をクリアでき、罰則や行政指導を回避できる。
環境負荷の低減
酸性・アルカリ性の強い排水が直接河川や下水道に流入するのを防ぎ、生態系や配管の劣化を抑える。
設備保護
強酸・強アルカリのまま流すと排水管や下水処理場の設備を損耗するが、中和処理により腐食やスケール付着を防止できる。
CIP洗浄排水の中和処理イメージ
CIP洗浄で発生する排水は中和処理を行い、pH を基準範囲に整えることが求められます。
これは、法令遵守のためだけでなく、環境保全や設備保護、持続可能な工場運営を実現するための重要なステップです。
CIP洗浄排水事例

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