~身近な中和~ 酸性雨って、実際に”酸っぱい”の?
「酸性雨って、名前からしてなんだか酸っぱそう!」
そう思ったこと、ありませんか?
子どものころ、理科の授業で「酸性の雨が降ると森が枯れる」なんて聞くと、まるでお酢のような味の雨が降ってくるような想像をしませんでしたか?
でも、実際のところ──酸性雨を舐めても「酸っぱい!」とは感じません。
その理由を、少し科学的に、でもわかりやすく見ていきましょう。
1.pHで比べるとわかる酸っぱさの違い
酸性雨のpHは 4〜5程度。
これは数字でいうと、ほんの少し酸性に傾いた水というレベルです。
参考までに比べてみると…
- レモン汁:pH2~3
- お酢:pH3
- コーラ:pH2.5〜3
- 普通の雨:pH5.6
酸性 | 中性 | アルカリ性 | |
pH値 | 1~6 | 6~8 | 8~14 |
こうして見ると、酸性雨は“レモン”や“お酢”の何十分の一程度の酸性しかありません。
つまり、舐めても酸っぱさを感じるほどではないんです。
2. 舐めるとどう感じるの?
実際、酸性雨をほんの少し手に受けて舐めたとしても、味はほぼ「普通の雨」と変わりません。
ただ、まれに「金属っぽい味」や「空気のにおいのような風味」を感じることがあります。
これは、雨が空気中のガスや微粒子を取り込んでいるため。いわば、“空の味”を運んでくる雨なんです。
酸性雨には、工場や車の排気ガスから生まれた硫黄酸化物(SO₂)や窒素酸化物(NOₓ)といった物質が溶けています。
濃度はごくわずかで健康被害を起こすほどではありませんが、「きれいな飲み水」とは言いがたいもの。
興味があっても、口に入れるのはおススメしません。
3. 環境にはしっかり影響あり
味ではほとんど分からなくても、確かに「ほんのり酸性よりの雨」。
見た目ではわからなくても、じわじわと長い時間をかけて金属やコンクリート、土壌や水質など、自然や建物に影響を与えていきます。
つまり「目に見えない酸」が環境のバランスをゆっくりと、でも確実に変えていくのです。
それは、工場や研究施設などの排水処理の現場にも同じことが言えます。
排水中のpHが少しズレるだけで配管や設備の腐食、処理不良、環境への負荷など、思わぬトラブルにつながることも・・・。
だからこそpHの中和は見えない酸を整える大切な技術なんです。

4. pH中和で“酸っぱい雨”を防ぐ
工場などでは、排水が酸性やアルカリ性に傾いたまま流れないよう、pH中和処理装置で中性に整えています。
いわば、自然界に戻る前に“味の調整”をしてあげるようなもの。
こうした見えない努力が、酸性雨の原因を減らし、環境のバランスを守っているのです。
まとめ:「酸っぱくないけど、あなどれない雨」
酸性雨は「レモンの雨」ではなく、「ちょっと酸味のある空のしずく」。
舐めても酸っぱくはないけれど、長い時間をかけて自然に影響を与える、静かな存在です。
私たちの暮らしの中にも、見えない“pHのバランス”を整える技術と意識がしっかりと根づいているんですね。
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