毒だらけのユーカリを主食に!コアラの消化・中和システム
オーストラリアの森をのんびり歩くコアラ。そのふわふわの姿からは想像できませんが、彼らの主食の ユーカリの葉には強い毒性があることをご存じですか?
毎日、毒だらけの葉をモリモリ食べているなんて、ちょっと驚きですよね。
人間や多くの哺乳類にとっては危険なレベルの毒性の葉を平気で食べられる理由は、コアラの体内に備わった消化・中和システムにあります。
コアラはどのようにして毒を無害化し、安全に栄養として吸収しているのでしょうか?
1.ユーカリの葉って実は毒だらけ
ユーカリの葉を食べる動物といえばコアラですが、実はコアラのほかにもユーカリの葉を食べる動物はいます。
フクロギツネ、シマオイワラビー、アカカンガルーにもユーカリを与えている動物園もあります。
しかし、これらの動物はコアラのようにユーカリを主食にすることはなく、「ユーカリしか食べない」動物はコアラだけなのです。
他の動物がユーカリを食べないのは、その葉が硬く消化しにくいという理由のほかに、実はコアラ以外の動物には危険な成分が含まれているからです。
| 成分 | 毒性の特徴 |
|---|---|
| フェノール類・タンニン | 消化酵素の働きを阻害し、タンパク質の吸収を妨げる |
| シネオール(ユーカリ油) | 中枢神経に作用し、大量摂取で吐き気やめまいの原因に |
| 青酸配糖体 | 体内でシアン化水素を生成する可能性あり |
人間や他の哺乳類が同じ量を食べたら、消化不良や中毒を起こしてしまうレベルです。
2.コアラの秘密兵器・中和システム
では、なぜコアラはこの毒まみれの葉を毎日モリモリ食べられるのでしょうか?
答えは、 「体内で毒を中和する仕組み」 にあります。
- 腸内微生物による分解
コアラの腸内には、ユーカリの毒性成分を無害化する特殊な微生物が住んでいます。
フェノール類や青酸配糖体は、腸内で安全な形に変換され、吸収可能な栄養として利用されます。 - 肝臓での毒性代謝
腸内で分解しきれなかった毒は、肝臓の酵素によってさらに無害化され、体外へ排出されます。
この二段階の仕組みによって、コアラは毒性の強いユーカリを安全に食べることができるのです。
[ユーカリの葉] 🍃
│
▼
[毒性成分]
・フェノール類・タンニン
・シネオール(ユーカリ油)
・青酸配糖体
│
▼
[腸内微生物] 🦠
└ 毒を分解・安全な栄養に変換
│
▼
[肝臓] 🏭
└ 残った毒性成分を酵素で無害化
│
▼
[栄養として吸収] 🍽️
└ エネルギー源として体内利用
3.なぜ毎日大量の葉を食べるのか
コアラは1日に 約500〜600g のユーカリの葉を食べます。
ユーカリの毒性を分解できる動物が他にいないため、競争が無くユーカリの葉を独占できるという優位性を持ちます。
しかし、葉の栄養価が低いため大量に食べることで栄養を補い、エネルギー消費を抑えるために1日のほとんどを寝て過ごします。
ちなみに、ユーカリの葉は水分を多く含んでいるため、コアラは通常、水を飲む必要がありません。
また、ユーカリの葉を消化するための微生物を母親のフンから摂取することで幼獣はユーカリを食べられるようになります。
4.まとめ
動物園で見ているコアラは、ふわふわでかわいいだけではありません。体内では毎日、毒性の強いユーカリを分解・中和する 小さな化学工場 がフル稼働しているのです。
・ユーカリの葉は強い毒性を持つため、多くの動物にとって危険
・毒性成分の高いユーカリを効率よく消化・中和する能力が不可欠。コアラは腸内微生物と肝臓の働きで毒を中和し、栄養として吸収可能
・体の中で「中和処理」を行うことで、毒性食材を主食にできる珍しい哺乳類
コアラの可愛らしい姿の裏には、毒性の高いユーカリ葉を安全に栄養に変える 驚きの中和システム が隠されていました。
自然界の「中和の知恵」を学ぶと、私たちの生活や産業の現場でも中和の重要性を改めて感じますね。
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